カンボジア・⑦ベンメリア遺跡へ行く道

カンボジア最後の日。

私達グループ6人と数名のツアーメンバーはオプションで頼んだベンメリア遺跡へと向かう。
泊まったホテルのあるシェムリアップ市内から往復3時間かかる遺跡だ。

ベンメリア遺跡は、アンコールワット遺跡よりも前か同時期辺りに建てられたらしい遺跡だという。

森の奥深くに有ったせいで発見が遅れ、しかもまだ全貌がすべて分かって無いらしく、もしかしたらアンコールワット遺跡をしのぐ規模の遺跡かもしれないとの話だった。

敷地近くにはまだ地雷があるらしく、密林の奥深くその姿がある。そこに向かう。

例の昭和の感じのするバスで走る。

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私の中でカンボジアのイメージは行く前と後では違った。

シェムリアップ市内は世界中から集まる観光客のためにシェラトンやパークハイアットなどの有名な高級ホテルが沢山立っていた。大都会である。私達のようなツアーばかりでなく、個人でも沢山の人達が世界中からやって来る。こうした人達が落とすお金で経済が回っているのだ。


しかし、その市内から40キロぐらい離れたベンメリア遺跡へ行く途中、しだいにその街の風景が変わって行った。

バスの窓からその風景を見てるだけでも興味深かった。
こうして世の中の人達は皆生きて生活してるんだなぁとしみじみ思った。

観光地に行った時、こうした普段の生活をかいま見るのが大好きだ。
何の変哲も無い風景を見るたびに、あの風景とそこで暮らす人達を何度も思い出す。




最近舗装されたばかりだという道の脇には、果物やゆでたトウモロコシやらを売ってる露店があった。少し前までは赤茶けた土埃の舞う道だったという。


バスの中から見える家はヤシの葉やトタンの屋根に高床式の家。

雨水を貯めているのか、人の身長ほどある大きな瓶が並んでいた。そこから水を汲んで、身体にかけている少年の姿も見れた。

途中の市場があるような繁華街みたいな通りでは、ぶつ切りの肉がぶら下がったまま売ってる店も有った。

ガイドさんが言うには、皆、貧しいので、子供達は家の焚き木の為に木々を取りに行ったり、キノコなども採ってくるのだそうだ。家族でアジぐらいの大きさの川魚を皆でつついたりして、肉はそれほど食べる訳では無いという。

そんな話から次第に自分の少年時代の話になった。通りに面した小学校が自分の出た学校だと教えてくれた。

お母さんは現在も存命で、この近くに住んで農業をしているという。

シェムリアップに住む彼は時々訪ねると言ってた。

その母親はポルポト政権時代に、すんでのところで殺されそうになった話などを話してくれた。カンボジアの3分の2の人達が殺された事からすると、今生き残ってるお年寄りは壮絶な体験をしているのだろう。

発展途上の国で、都会の街はどんどん近代化されているが、ほとんどの人達はこうした農業で身を立てている。

バスの前の方に座っていたので、ガイドのパレットさんはマイクは使わず、寝ている人達を邪魔しないように私を含めた前方の席の人達に向かって色々な話をした。

今の政権を握ってるフン・セン首相の独裁政治がいけないのだと政治の話にもなった。

彼は「子供達に教育をさせないのが一番いけない」と力説していた。

学校も少なく、まるで国家の権力者が国民が賢くなるのを阻止しているかのようだと。

そして教育の場の先生の待遇もとても悪く、もらった給料では妻子を養えないので、副業として教室にお菓子やノートなのど文房具などの商品を並べて売っているのだそうだ。

生徒もその親もそいう事情を知ってるので、教室でそれらを買うようになっているのだそうだ。ガイドさんが学校に通っている頃はずっとそうだったと話していた。


流暢な日本語で自分の国の今や将来を心配して語る彼の話は、カンボジアのこれからの事を真剣に考えているのが伝わって来た。

帰国してしばらくして、そういう現政権の事を調べてみたら、彼が言ってる事が真実だったと思える記事がたくさんあった。

彼は話の最後に「こんな状況を変えるには私がそのうち政治家になるので応援してくださいね」なんて冗談を言っていたけど、案外本気でしゃべっていたのかも知れない。

動画を再生させるたびに、ガイドさんの話やカンボジアの人達の事を思い出す。


~つづく~




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by mismis10 | 2018-03-11 09:53 | 2018・ベトナム・カンボジア
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