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老人の独り言

私が実家に行った時は、必ず母をドライブに連れ出す。
助手席に座っていただけでも、腹筋の運動くらいにはなるかと思うのでそうしている。

だいたいが買い物も兼ねているので、ほぼ同じ県道を走る事が多い。

母はいつもの見慣れた風景を見て、古い町並みの続く通りで同じ事を言い、自分と何十年も前に縁のあった桜の古木を見ては、また同じ事を言う。

数十回も同じ場所を通っても、数十回もほぼ同じ台詞を言うのだった。

昨日、そうした、いつもの儀式みたいに同じ話を聞きながら県道を走っていたら何だか上空でパタパタパタという音がした。ヘリコプターだった。

更に向こうから、パトカーが数台連なって走って来た。
また機動隊が乗るような網の張ってある警察車輌も数台走って来た。
ただ、それは原発の方向へではなく、そちらの方向から戻って来る向きだった。

連なったパトカーや機動隊のバスを見ると、原発が危ないのかと思ってしまう。
悲しいけれど3・11以来、身に付いた癖だ。

4号機の事で夢までみた私だったので、一瞬だけ焦った。

でも、反対から帰って来る感じだったので危機感があるという訳ではなく、何かの訓練なんだろうかと考えた。ただ震災直後ならまだしも、最近、こうした何台も連なったパトカーや警察車両を見たのが久しぶりだったので驚いた。
車のラジオとかをつけてみたが、特に変わった様子は無い。

走っている車の中だったので、こうした状態の時に万が一避難をしろとか言われたら、どうしようかと少し考えた。普段いつも通りに日常生活をおくっていても大きな地震やこうした車両をみると、どうしても3.11を思い出す。

おりしも、阪神淡路大震災から今日で17年。
その時、震災に遭われた方達も、こういう思いを持ち続けているのかもしれない。

私が福島の震災の事をブログで書くようになってから、本当によくメールをおくってくれるひとりの友人がいる。彼女とは実際に会った事も話した事も無い。ブログを通じてのお付き合いが最初だった。

その彼女自身が、阪神淡路大震災を経験した方だった。

いつも送ってくれるメールには、何だか表現が難しいのだが根底の部分でとても心が癒される。私の震災経験などはとるに足らない話だが、彼女の話は気持ちの上で通じるものを感じる。もちろん震災の話ばかりでは無く、たわい無い話でもこうした友人の存在は貴重だ。感謝したい。ありがとう。

さて話は戻って。
その日の夕方のニュース報道で、あのヘリコプターと連隊の理由が解った。

アメリカのルース駐日大使が、震災後初めて被災地の福島を訪れたらしい。
どうやら、その護衛だったようだ。

他の東北の被災地には行っていた大使が福島に来たのが初めてなのには少し驚いた。
それは以前、彼が歴代の大使の中で、戦後初めて広島、長崎の原爆地を訪れたという報道を見たから、そういう人は、即、こうした所に来るのかと思ったからだ。

でも、ただ来ましたよという感じの訪問でもないらしく、数日かけて、いろんな場所に出向いているようだ。更に、アメリカの原子力規制委員会やエネルギー省の専門家を連れて来たというので、何か思惑があるのかとか、そういう事も頭の中で考えた。

その後、県庁を訪れたようだ。
ただ、これまたお決まりの風評被害云々をその大使に向かって話す県知事の話には正直うんざり。勘弁してよ。もう、これだけいろんな所で放射性物質が出てるのだから、風評でも何でもないだろうと、画面を見ててそう感じた。

もう、そういう言い方はやめようよ。知事。
毎度毎度、同じ事を言っていたら、老人の独り言と同じだよ。
先に進まないと。
今の放射能被害をなんとかするために、やってもらえる事は、日本の国でも、この原発を強く勧めたアメリカという国にもやっていただこう。
それだけ私達福島県民は切羽詰った環境にいるのだから。
by mismis10 | 2012-01-17 23:54 | 東日本大震災
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