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アンチ・トマト派



先日。何年かぶりに宅配ピザを注文した。

どういう風の吹き回しか、夫が出勤する前に
「ピザが食べたい」と言い出した。

今年60歳のこの人は、年代的にパスタと呼ぶ世代では無い。
スパゲッティーという名前でしか、それを呼ばない。
種類は、おそらくナポリタンとミートソースしか知らないと思う。

しかも彼はトマトが嫌いなのだ。これはイタリアン的には致命傷だ。
だから、ソースがトマトであるピザもあまり得意では無い。
「あんなもん、食べなくても十分生きて行ける」と豪語していた人だ。
イタリア人に生まれなくて良かったよね。ホント。

それでも息子達がまだ家に居た時はしぶしぶ食べていた。
ここ数年、外食でもそうした類のモノは食べた事が無かった。

それなのに、なんでだろう。
そう思って聞いてみたら「何年も食って無いから」という答え。

まぁ、理論的には十分合ってる。(笑)

そんな訳で頼もうと思ったが、いかんせん、メニュー表が無い。
そういった類のポステングされたチラシは見るまでも無く捨てていた。
前のがあるかなと、あちこち探したがやはり無かった。

普段はやたらと目にするのに、
使うって時は手元に無いのがこうしたチラシの運命なのか。

こりゃ電話で頼むしか無いと思っていた。
夕方、そんな事を考えていたら、なんと郵便受けに誰かが入れて行った。
なんて凄いタイミングだろう。

さっそく選んで電話した。
それほど時間がかからず、宅配のお兄さんがバイクで配達に来た。
痩せた眼鏡の若者が暑い日に熱いピザを汗だく届けてくれた。
ごくろうさま。

こういう姿をみると、若い男子→息子世代という連想で、
どうも自分が労働せずに楽をしてる感じで申し訳無い感じがした。
そもそも宅配には後ろめたさがある私は、ちょっとだけ恥ずかしかった。

お金を払い、おまけの品までいただく。
が、そのお兄さん、全部終わったのになぜか玄関から立ち去らない。

なんでだろうと思ったら、
「あの~、初めての注文ですよね」と言う。

「はい。初めてです。」と答えた。

(「何年か前には頼みました」)と言うか迷ったが、
まぁ言う必要も無いし。笑われそうだし。止めた。

「今日、ここのお宅にポステングしたの僕なんです」と言う。
「なんか、嬉しかったんで。」とペコリと頭を下げて帰って行った。

なんだかこっちも嬉しかった。

帰った後で、
また何年後の注文とかになったら悪いなぁと思った。

誰か来たら注文しようか。
食べたい人、お待ちしてます。
by mismis10 | 2011-07-10 08:21 | 日常あれこれ
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