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「震災の後で」

報告。
玄関等を掃くホウキ、買ってまいりました。
毎日丁寧にお掃除続行中です。
頻繁に使うものは良いものを選ばないといけません。
妥協してはいけません。
ただ、どうしたメーカーが良いのは不明なので
とりあえず、掃きやすそうなモノを購入したつもり。

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~二人の学者の意見~

前から気になっていた事を。
二人の学者の話を聞いた後なので。

まず、以前のブログでも触れたが
長崎大学大学院の教授の山下俊一氏。
この方は福島県放射線健康リスク管理アドバイザー。
要するに、福島県が県民を安心させようとして仕事をお願いした先生だ。

私がこの方の話を聞いたのは、
東京電力福島第1発電所が水素爆発を起こした数日後。
FMポコという地元のラジオ局での放送だった。

内容を聞いていて、まず一番に私は安心したのを覚えている。
福島がこれからどうなるのかという事がまだ分からない時期だったので、
とりあえず大丈夫なんだという安堵を感じた。

それだけ忠実に、この教授は任務を遂行してくれていたのだろう。
本当に情報が無いままの自分にとって、語られた内容は安堵感を与えてくれた。

再放送がされるたびに、何度も何度も大丈夫なんだと思った。
いわばあの頃、救い主にも似た感情を持った。

ただ、数回その講演内容が再放送が流されると、
それまではカットされていた、
その講演の後の質問のコーナーも放送されるようになった。
(おそらく、会場に居て質問した人達からの要請もあったのかもしれない。)

すると、その内容は一般的なものもあったが、鋭い指摘をする人もいた。
教授が笑いながら話をして、笑いながらそれに答える会場内の参加者を、
不気味だと叫ぶように非難する男性の声があった。
「今、大変な事が起きているのに、この会場内で笑ってる人達は不気味だ。気持ち悪い。」と。

それからしばらくして、今度はこの教授が、
福島県立医科大学での入学式で語っていた内容をTV報道で聞いた。
NHKのニュースで他の県の復興の様子を流す映像と共にさらりと流れた。
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新入生たちは、入学式のあと長崎に投下された原爆やチェルノブイリ原発事故が、
人の体に及ぼした影響を研究している長崎大学大学院の山下俊一教授から話を聞きました。
この中で、山下教授は「放射線による健康への影響は一般的に正しく理解されていないのが現状で、
正しい知識を身につけてほしい」と述べたうえで、
「この大学で学ぶ君たちは、放射線について世界一の学識を身につけ、医療の現場で実践してほしい」
と期待のことばを述べました。
~~~~~~~~~~~~
この報道が流れた時、私は「ん?」と思った。

それは、まさに武田教授が★ブログ(下にリンク有り)で書いていた
『今後福島ではかなりの癌患者が増えるであろう。』
という考えと一致していたから。

先に私が安心したという最初にラジオで聞いた講演の中で山下教授は
まだいろんな情報が出て来ない水素爆発数日後であったが、
『これから、福島は世界中で一番有名になりますよ~。福島、福島とどんどん出て来ます。』
という話をした。

その時、会場内では笑いが起こった。
この状態が先に述べた不気味な雰囲気と言われるゆえんだ。
教授の発言の裏には怖い現実が起こってるのに、
笑ってる場合で無いとあの非難した男性が言いたかったのだろう。

その後、計画的避難区域の飯舘村での講演もあったが、
それはまだ国から指定される前の段階で、
「安心しました」と講演会の場を去るおばちゃんの映像が放映されたのを見た。

しかしながら計画的避難区域の指定を受けた後では、
「ついこの前、大丈夫だと山下教授が言ったのに、今度は避難しろというのは
誰を信じたらいいのか。」と言って怒ってる人の映像が流れた。

二本松市での講演では、You Tubeなどで見たが、教授に対して
「そんなに大丈夫ならば、砂場に自分の孫を連れて遊ばせろ」の発言まで出ていた。

また、山下教授が長崎の地元新聞のインタビューに、
福島県で言ってる事とは違う答えを出してる事にも非難が出ている。

国が決めた基準では危ないと言っている学者も居るのに、
山下教授は「日本国民なのだから、それに従うしかないでしょう。」と発言しているのは、
まさに放射能被害のモルモットとして福島の人達を扱っているとまで言ってる人が出て来ている。

あの爆発した直後の私が安堵した講演内容が、いまや攻撃の恰好の材料になってる。
県民の不安に答えるはずの行政側の意向が全然役立っていない感じだ。

それもこれも、安心出来るような内容の具体的な提示がされないから、皆不安なんだと思う。
遠くに住んでる文部科学省の役人が決めた数値に、誰が納得するというのだ。
実際にこうした声を聞く機会がある教授が国や県に進言出来ないのだろうかと思う。
そういう立場には無いのだろうか。

私達が被災している本人達なのに、その声が届かないというのが今の所の現実だ。
勝手に決められた数値で我慢しろと言われてるだけだ。
しかもその決定は、20分程度の電話のやり取りで決ったとかという報道もあった。
どのように決った数値ですら定かでは無い。
直ぐに何でも決定が変るのに、この子供に対しての数値は変らない。

数日前の30℃を越えた中、長袖長ズボンを着て、帽子にマスク姿の
下校時の小学生は見てるだけでも異常だった。

福島市は盆地なので夏の暑さは並み大抵では無い。
学校のプール使用は禁止され、
放射性物質の入り込んだプールの溜り水は、どんよりと濁ったままだ。
いつもは盛んに聞こえる小学生の歓声は今年の夏は聞かれない。

数日前に、幼稚園や小学生の子供を持ってる友人の母親と話す機会があった。

小さい子を持ってる母親は本当に深刻だ。
幼稚園とかに入る前の幼児や赤ちゃんを持ってる友人の何人かは、
家庭の事情が許せば県外に出て行ったという。
たいていは自営業とかの人が多いらしい。それも離れる事が出来る程度の自営業の人達。
あとは、転勤族の人で妻子だけ県外に出た人が多いと話していた。

自分は子供の学校があるし夫の仕事も福島だから出て行けない。
正直、誰かが全部面倒みてくれて今と同じように過ごせるならば、
こんな危険な数値の出ている場所に子供達を住ませたくは無い。

ただ、なんの補償も無いのに、
どこかに行っても生活出来ないから、こうしてここに留まるしか無い。

そう話していた。



★【科学者の日記110514 医師の100ミリ】
by mismis10 | 2011-05-23 01:40 | 東日本大震災
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