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「東京タワー」という存在



東京タワー「オカンとボクと、時々、オトン」を、見て来た。

どうも【東京タワー】というと、
そのネーミングに惹かれる私は、この文字を見ただけで興味がわく。

江國香織さん原作の「東京タワー」(『Tokyo Tower』)の
黒木瞳と岡田准一の映画も見たが、あの恋愛モンとはまったく別の映画。

ベストセラーになった小説で、
TVでも、何度か違う役者さんがやっていたらしいが、それも私は見ていなかった。

原作者のりりー・フランキーという人を知ったのは、
今回の映画では無くて『おでんくん』から。(笑)
すっかり漫画家だとばかり思っていた。

ラジオを聴いた事は無いし、本を読んだ事も無い。
「ほぼ日新聞」での糸井氏とのネットの対談を読んだくらいだった。

TVのトーク番組に出て、話をしている姿から、
飄々とした雰囲気の人だなぁと思ったくらい。

若いのか、歳とった人なんだかも不明の人だった。

で、今回映画をみたのは、
その主人公をオダギリジョーが演じているから。(笑)

「東京タワー」という存在_c0073802_23483447.jpg
私は、前評判のように、涙が出て止まらないという感じでは無かったが、
こんな風に息子から愛された母親は幸せだと思った。
親子関係の別れは、どんなに世代になったとしても悔いの残る別れだから。

折りしも、悲惨で悲しい事件があったばかりで、
親子、特に、母と息子のかかわり方を考えていただけに、
心にズシンと来るモノがあった。

内田也哉子演じる(若い時の)母親が一人見送る駅から、
高校進学のために別れるシーンで、
電車の中でくちゃくちゃのお札の入った封筒と手紙を読みながら
涙をこぼしながら、おにぎりを頬張る場面が、
同じ年頃の事件を起した少年とだぶった。

あの事件を起した少年だって、
絶対こうした少年だったろうに。。。と。

主人公が、留年や借金を重ねて、どん底の生活をしながらも、
そこからなんとか抜け出した生活になってから、
最後は、母親の最後を看取るという姿に、心から安堵した。

抗がん剤治療の副作用で、ベットの上を、のたうち回る母親に、
同じ病気で亡くなった私の父の闘病生活の事を思い出した。

そして幼い頃、
その父に何度か連れて行ってもらった東京タワーも思い出していた。

思い出しながら、映画館のスクリーンに映し出される
東京タワーの赤とオレンジの電気の色が滲んで見えて仕方なかった・・・。

それにしても、大学を卒業出来ないという息子からの電話に、
樹木希林演じる年老いた母親役のオカンの
「何で頑張れんかったとやろね・・・・」という言葉。

責めるでもなく、叱るわけでもなく、
ただ、ただ、落胆の言葉を何度も繰り返す風な言い方で、そこに私は、母親の愛情を感じた。

きっと、この映画を見た多くの〝息子という立場の人〟は、
このニュアンスを感じとれると思った。

昭和33年に生まれた東京タワーも、
地上デジタル放送の全面移行予定のため
新塔『第2東京タワー』(仮称)(地元では「すみだタワー」)に変わる計画が。

やがて、昭和のシンボルとしての東京タワーが、
それぞれの心に残るようになるのだろうか。


東京タワー オカンとボクと、時々、オトン 公式HP

(※画像はお借りしました。役者さんの敬称略)
by mismis10 | 2007-05-17 00:04 | 映画・演劇・美術鑑賞・関係
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