ここのところ、忙しい忙しいと言いつつも、 ちゃかりと、映画『マリーアントワネット』を見て来た。 もう公開終了になると聞いて、夜に、慌てて見に行った。 この映画は、ぜひとも映画館で見たかったから。 のフランシス・フォード・コッポラ監督の娘である、ソフィア・コッポラ監督の作品。 カンヌ映画祭とかでは、映画の出来に賛否両論だったらしいが、 そもそも歴史のお勉強では無い映画だから、 私としては、単に若い一人の女性を描いた作品だと思って見た。 フランス政府の全面協力で、ヴェルサイユ宮殿を使いまくりの映画。 40億円をかけたという豪華絢爛でゴージャスな映像は、十分見ごたえがあった。 衣装のドレスや靴や帽子は、 私の見る限りそのほとんどがフランス菓子のマカロン色にすべて染まっていた。 もちろん、ケーキやお菓子も、一流の老舗の職人さんの作だそうだ。 まるで綿菓子のような色の凄い数のドレスや靴が、 これでもか、これでもかと出て来る。 時々遊び心を入れたらしい映像があり、その宮廷の靴の中に、 その時代には有り得ない〝スニーカー〟が何気なく登場してたのを目撃した。 このスィート色のフワフワしたドレスや靴を身につけ、 贅沢の限りを尽くしていたマリー・アントワネットは、 果たして本当に幸せだったのだろうか。 若干14歳の若さで国のために嫁いだ彼女が、 37歳で処刑される寸前までの生活を描いた映画だったが、 女性監督らしい感性で、素のマリーアントワネットを映像化していたように思う。 ティーンエィジャーから大人の女性へ、さらに子供を持つ母親としての王妃を描いてる。 甘いドレスも母親になると、ナチュラルな洋服に変わり、 小さな農園を作って、今でいうガーデニングをしていた様子など、 教科書にはけっして出て来ないシーンもある。 オーストリアのお姫さまとして育ったマリーアントワネットだったが、 以前、歴史の研究者が言ってた話によると、 彼女は、物心ついた頃から、 何処の国へ政略結婚して行く事になろうとも大丈夫なようにと、 母親である王妃から厳しい教育を受けていたらしい。 なかなか子供が出来ない娘に祖国の王妃である母親が何度も手紙をよこす。 「生む○械」発言がうやむやになった日本だけど、 この時代、ここの国でも、映画の中では明らかに、そのままの話だ。 子供が出来ないと、同盟が上手く行かなくなるのを懸念してるのだった。 当時、オーストリアはそうして行かないと生き残れない国だったのだろう。 幼い時の母親からの厳しい教えがあったからこそ、 まったく風土の違うフランスで王妃としてやっていけたのかもしれない。 常人ではとても考えられない事が多いフランス王室のしきたりが、映画にも次々と出て来る。 プライバシーのまったく無い生活の中での宮廷生活。 着替えするにも、自分で下着すら自らの手に取ってはいけない生活。 極め付けは、 フランスの皇室の人間が男女の区別も無く見ている中での出産だろう。 フツーの人間だったら耐えられない。 「ベルサイユのばら」世代の私としては、 宮廷生活は、夢の世界のお話だとばかり思っていたので、 この事実を知った時には、卒倒するくらい驚いた。 映画でもそういうシーンがあったので、やはりそうなんだと再認識して来た。 歴史的な背景にはほとんど触れていないが、 そのあくまで夢のような映像には、 国を背負った一人の少女の生き様ともとれる映画だったようにも思えた。 フランス革命で暴騰化した民衆から逃避しないで、 最後まで夫・子供と寄り添って処刑台へと向かう馬車の彼女と、 フランスの地へ嫁いで来た時に、期待に夢みて馬車に乗る彼女の姿が重なった。 いろんな事を言われた彼女だが、根は意外にも古風な女性だったのかもしれない。 ヴェルサイユ宮殿の中で、閉ざされた生活の中で、何も知らされずに、 危険が近づいていることさえも知らずに居たのだと思う。 確かにあの宮殿の中にいると、 世間からは隔離され、そこだけが別世界だったのだと思う。 最後まで全体的に夢色トーンの映画で、ポップな音楽が流れる中で、 処刑シーンや暴騰シーンなどの出て来ない映像は、 ある意味、かえってその置かれた悲しい立場を想像出来た。 まぁ不倫になってしまうけど、フェルゼン伯爵との恋もあって、 一応、大人の恋もしたという設定か。 37歳か・・・。 それにしても若かったのね。マリー・アントワネット。 すでに、没後250年も経っても、まだまだ語り続けられる彼女は、 おそらくいろんな意味で、魅力的な女性だったのだろうな。 ※マリー・アントワネット公式HP ※画像はお借りしました。
by mismis10
| 2007-03-01 23:56
| 映画・演劇・美術鑑賞・関係
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