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旅日記・信州編・10・半杓亭


『半杓亭』(はんしゃくてい)は
瑞松寺の前というか、その境内にあった。

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『源智の井戸』という名所の湧き水が出てる場所の前にあり、
自転車の旅をしてるような格好の若者や、地元の人がその湧き水を汲んでいた。

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私も、皆さんと混ざって、水を口に含んでみた。
まろやかな感じのする湧き水の井戸水だった。
後で聞いた話では、半杓亭の飲みモノはこの湧き水で入れられてるそうだ。

それから、お店に入った。
一人だから、カウンターに座った。

カウンターの中では着物を着た、
竹下夢路の絵に出てきそうな日本的な美人の若い女性の方が、
一人でコーヒーをいれていた。

着物で接待は、慣れて無いと大変では・・・?と思ったが、
ゆっくりだが、実にテキパキした身のこなし方だった。

玄米コーヒーを注文。
どうも、体調を考えて身体に優しい品を選んでしまう。

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店内を見回すと、松本民芸家具のテーブルと椅子で統一されていた。
よく見ると、奥の方に本が見えるそれほど大きく無い空間の部屋がある。

入り口には『おおいど文庫』という文字が見える。
小さな図書館だった。

尋ねたら「自由にご覧下さい」と言う。
コーヒーが入るまでの時間みせていただく。

中に入れば、凄い数の本が上から下までぎっしりとあった。
子供向けや、仏教の本や、いろんなジャンルの本が所狭しと置いてあった。

お店の若い着物の女性の話だと、
ここのお寺の奥さんだったか、お嬢さんだったかが、
以前、近所の子を集めてココで読み聞かせをしていたそうだ。

それが時代と共に、子供の数も減って、
やがてその読み聞かせの長屋の場所に、この「半杓亭」が建てられたのだそうだ。
その名残が、この図書館なのだそうだ。

現在でも、本の貸し出しとかが行われてるのだそうだ。
「ご希望の本が有りましたらお貸しいたしますよ」と言われた。

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カウンターに戻って、入れてもらったコーヒーを飲みながら、
松本は初めて旅行で来て居て、借りて行けない事を話す。

玄米コーヒーが、非常に、おいしかった。
大体にしてオーガニック系は、それほど味が良いとは思えない私だったが、
ここのコーヒーは美味しかった。
今まで飲んだ玄米コーヒーの中では、ベスト1だと思うほど旨かった。

ひとつ席を空けた場所に、20代くらいの若者の男性2人連れが居た。

コーヒーを飲んで、聞くとも無く聞こえて来た話の内容が、
松本城内で行われている「蕎麦まつり」の事だった。

しかも、ブログでも書いたばかりの
私の好きな福島県山都町の宮古の蕎麦を食べた話をしている。
えっ??と思い、思わず声をかけてしまう。(完全にオバサン化・・・笑。)

さらに、松本の蕎麦の美味しい店を教えてもらおうと、
前持って調べておいた店の名を言うと、確かにソコは美味しいと言う。

でも、この時間では、
もう打った蕎麦が無くなれば終わりだから、駄目だと思うと言われた。
(確かに蕎麦はそうだよなぁ・・・。もう夕方だし。)

で、ここまで、例の切符で来た事を話すと、
二人のうちの一人が「青春18きっぷ」で旅をした事などを話してくれた。

私は、友人と二人で来た事。
今夜は「まるも旅館」に泊まって、
明日、下諏訪の「すみれ洋装店」に寄って、東京に帰る事などを話した。
さらに、その後、東北の福島に帰るという話をした。

カウンターの中の若い着物の女性の方も話に混ざり、
「私も下諏訪のすみれさんに行きたいのですよねぇ」とか
まるも旅館の事や、先ほど行って来たKASUKE荘などや、宮古の蕎麦の話をした。

会話は尽きないが、時間が気になり、
おそらく、ろだんさんが待っている頃だと思い、店を後する事にした。

会計を済まし、店を出ようとしたら、
その二人連れの若い男性のうちの一人が、こちらを見て、
「良い旅を。」と声をかけてくれた。

なかなかあの年齢で、
こうしたタイミングに、こんな風に声をかけるって出来そうで、出来ない。

(いい「大人の男性」になれるなぁ・・・と心の中で思った。)

なんとなく嬉しい気分だった。
いいなぁ。。。こういうのって。
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店を出て路地を歩いたら、方向がわからない。(笑)
まったく、何てこった。
(カッコ付けて、颯爽と店を後にしたばかりなのに、全然カッコ良く無い・・・私。)

ありゃりゃ・・・と思い、
さっき通って来た道を探そうと思った所で、ろだんさんから携帯に電話が入る。

その前にメールも来て居たらしいのだが、
音を消していて気が付かなかった。(ごめん。)

ぼちぼち歩くうちに、さっき通った道に出た。
旅館前で、合流した。

また、ぶらぶらして、暗くなった通りの店を、数件覗いて歩いた。

築何百年も経ったような店構えの漆器屋さんに入り、
中を見て、この辺で美味しい夕食が食べれる店を聞く。

親切なおばさんが、田楽の美味しい店を教えてくれた。

ろだんさんが数点買い物をして、
そこの店から、教えてもらった店に向かう事にした。


(2006・10・8・「夕方」)
by mismis10 | 2006-10-21 00:46 | 旅(信州編)
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