(内容にネタばれがあります。まだ観てない人はご注意下さい。)
最近なかなか映画に行けなかったという事を書いたばかりだったが、今日は話題の映画を観て来た。やはり大きなスクリーンで観る映画っていいな。 19世紀のアンティークなセットも観ていて、とても興味深かった。 映画は、貧困と格差社会にあえいでいる民衆の自由を求める姿もその映画の背景にたっぷりと描かれていた。今の日本だって、あれほどでは無いにしても、やはりそういう構図の社会である事には違いないなと思ったりした。 映画の筋の中心のジャン・バルジャンと警官ジャベールの水と火のように対立した相克の関係がとても印象に残った。なぜあれほどまで執拗に警官ジャベールはジャン・バルジャンを追うのか。 それは同じような境遇を経ての法に対する意識がまったく違う形で出ているのだろうかと。 二人の最後が相反する死の迎え方だった事が、この映画のキーワードにもなっているように感じた。 死期が近いジャン・バルジャンの元へ、アン・ハサウェイ演じるファンテーヌが透き通るような声で歌いながら現れた時は思わず天使がお迎えに来たかのように思った。役作りのために一日500キロカロリーの食事制限で7キロ痩せた彼女は「プラダを来た悪魔」の時よりも数倍素敵だった。 また映画の中では二人の女性の対比の場面も。 ファンティーヌの娘コゼットはジャン・バルジャンの元へ引き取られてからは輝くばかりの娘として成長する。 その昔、コゼットが預けられ虐待されたていた安宿の家の娘のエポニーヌは、コゼットに一目ぼれしたマリユスの身を危険から守るため暴動に参加して銃弾に倒れる。 私はただ可愛らしいだけのコゼットよりも、このエボニーヌの切ない愛を歌う姿のほうに惹かれた。 マリウスとコゼットが愛を語り合うシーンで、2人の掛け合いの歌の中、最後の方で、エポニーヌが2人にかぶせる形で片思いの心情を歌うシーンがある。時間的には短いが、3人の声の重なりの美しさとエポニーヌ自身の切ない心情が出ていた。 中学生の時に読んだ「あぁ無常」の原作とは映画はたぶん違うが、それは映画としては当たり前の事だ。 この映画は、ミュージカル映画としては今までの映画とは随分と違う撮り方をしたらしい。 俳優・女優達の歌唱力にも感動した。 歌で感情を表現するのは至難の業だと思うが彼らはそれを見事にやっていた。 ミュージカルとかは、どうも観ていて気恥ずかしいのだが、いつの間にかその世界に惹き込まれてしまい涙でうるうるしてしまった。 久々の映画という事と大作を十二分に味わえたという事がとても嬉しかった。 【余談】 朝イチの上映時間にあわせて家を出たが、3時間近くの長い映画なのにお手洗いに行っておくのを忘れたので最後は我慢しながらで大変だった。 何で、そういう事になったのか。 それは映画館の駐車場から、冬のキーンと晴れた綺麗な青空と山が見えていたから。 そういうのを画像に撮っていたら上映時間にギリギリになってしまった。 これから行かれる方は、くれぐれもそうした事が無いようにね。 って、そんな事やってるのは私だけか。
by mismis10
| 2012-12-27 20:44
| 映画・演劇・美術鑑賞・関係
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