~同じ境遇~
講談社の週刊誌「週刊現代」四月三十日号を発売日に買って読んだ。 本屋で雑誌に手を伸ばした時、年配の男性と手がぶつかった。 その男性は隣の雑誌と私の買った雑誌と2冊つかんでレジに向った。 どちらも原子力発電所の事故を取り上げた週刊誌だった。 こうした類の雑誌は今まで買ってまで読んだ事はほとんど無かった。 歯医者さんの待合室とかに置いてあって読むぐらいだった。 グラビア写真や記事は、まさに渦の中に居る私には、あまりにも現実的で どうしていいか分らないような内容が書いてあって、いっそう不安になっただけだった。 買った事を後悔した。 ただ酒井順子氏の文章が心に残った。 抜粋させてもらい、この場に記録として残して置こうと思う。 ~~~~~~~~~~~~ 私と原発 地震発生後、新聞に東北地方のある大学教授の言葉が載っていました。 東北は、日本の、そして東京の発展を今まで支えてきた。 「金の卵」と言われる若い労働力が東京へ出ることによって、農家は労働不足に。 そして東北地方である福島県にある原子力発電所は東京電力がつくったものなのであり、 今回の事故によって避難を余儀なくされてた人達は、 「金を出せば利便性を買える大都市生活の犠牲者」と見ることもできるのではないか、と。 福島の原子力発電所でつくられた電力を使用していたのは、我々です。 しかし私は、福島県に原発があることは知っていたけど、 それが福島県のどこにあるのか、そして基数がいくつかも、地震があるまで知らなかった。 今回の事故があって地図を見て、初めて原子力発電所マークがある場所を知ったのです。 「なぜ大都市の住民や自治体は、東北支援の声をもっと大きくあげないのですか」 というその教授の意見は、私の胸に深く、重く響きました。 ~中略~ 作家の故・水上勉は、大飯原発がある地で生まれ育ちました。 町の中でも辺境とされていた半島の突端に原発が出来て、 それまで半島の人々は枇杷を町中まで売りに行って生計をたてていたそうなのですが、 「地場産業のない半島が枇杷売りから、電気売りに変った」と彼は書きます。 そして、「都市へ奉仕する側にあるのに変わりはない」とも。 水上はまた、 「若狭は中世から京にかしずいてきた」とも書くのでした。 決して京を脅かすようなことはせず、魚も、紙も、工芸品も、 良いものができたら自分達のものとはせず、京へと運んだ若狭の人々。 農家の次男や三男は京都に丁稚に出ることによって口減らしされ、 そして今は、京すなわち都市の人達が使用する電気を、若狭で作っている。 震災発生の前、関西電力のホームページのトップには、 「関西の暮らしを支える電気 その半分は福井県若狭地方にある原子力発電所から届いています」 と書かれていました。 京・大阪といった関西の都市と若狭の関係は、 東京と東北の関係と、見事なまでに一致するではありませんか。 チェルノブイリの事故の後、若狭ではよるとさわるとその話になるのだそうです。 しかし受益都市である京都では、「安全にやってもらわんと困りまっせ」と、 他人事のように言われたのだと、水上は書いています。 若狭に十三もの原子力発電所が稼動もしくは建設中であることを、 京都市民はどう考えているのだろう。 『安全にやってもらわんと』ということばは、 若狭に向けられて、大阪の原発本山に向けられないのはどうしたことだろう。 つまり若狭は、このようなのんきな人もいる受益都市にかこまれて 文明の危険な火種を抱いているといっていいのである。 という水上の筆致には、若狭の人としての怒りと悲しみが込められています。 そしてこの文章は現在、 日本最大の受益都市である東京に住むのんきな我々に、直接響くものなのです。 福島でくつられた電力で生活を享受してきた我々は、 福島のことを自分のこととして考えなくてはなりません。 原発を作ったのは東京電力なのであって私達ではないと言うこともできるけれど、 使いたい放題、じゃんじゃん電力を使って来たのは、他でもない私達なんです。 ~中略~ 今、日本全国にある全ての原発の周辺にいる人々の不安は、 そこでつくられた電力を使用している全ての人々が共有すべきものなのであることを、 忘れてはならないのです。 ~~~~~~~~~~~~~ ★下記の署名活動を知らずにいて、 神奈川に住む友人からメールで教えてもらった。(ありがとう。) 私は何か特定の団体の運動員でも何でも無い。 日本の福島に住む国民の一人だ。 そして母親であり、叔母であり、多くの子供達の未来を憂いる一人の人間だ。 こうして気持ちを共有してくださる方がいる事が何よりも力強い。 分かってくれてる人がいるというだけで気持ちが救われる。 皆がみんな福島を見捨ててるわけでは無い。そう感じる。 本当にありがとうという気持ちでいっぱいになる。 感謝します。 文章の中ほどに、 2. メールでの署名(メールフォーム利用) を使用すると直ぐに署名出来ます。 第2次集約日:2011年4月30日となっています。 ぜひ賛同いただきたいです。 よろしくお願いします。 ★【福島原発の『廃炉』を求める有志の会】
by mismis10
| 2011-04-19 19:58
| 東日本大震災
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